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ヨブきこうえん
ヨブ記講演
内村 鑑三
丸の内の大日本私立衛生会館における内村聖書研究会においてのヨブ記講義、1920(大正9)年4月25日~6月27日、9月12日~10月10日、10月24日、11月21日、12月19日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 92,828 字 · 185 页
銀一ケセタと金の環一箇を彼に贈ったとある。人情の浮薄さ東西古今別なきを思って、微笑まるるのである。(金一ケセタとあるは銀一ケセタの誤訳である。ケセタは多分銀貨の名であったと思う。一ケセタはむしろ少額の貨幣であったと思われるが、かかる際に習慣として贈られた額であったのであろう)。
◯十二節は彼の財産の二倍となりし事を記し(第一章と比較せよ)、次に十三―十五節に言う。
また男子七人、女子三人ありき、彼れその第一の女をエミマと名け第二をケジアと名け第三をケレンハップクと名けたり、全国の中にてヨブの女子らほど美しき婦人は見えざりき、その父これにその兄弟たちと同じく産業を与えたり。
女子の名のみ挙げ、そしてその女子が全国に比なく美しくかつ男の子同様産業を分与せられたと特記したのは、女子をば特別に貴ぶ当時の風習の表われとして注意すべきである。エミマは「鳩」を意味し、ケジアは「肉桂(香料として)」を意味しケレンハップクは「眼に塗る化粧薬の角」を意味す。原名においてはいずれも優雅な名であったことと思う。「この後ヨブは百四十年生きながらえてその子その孫と四代までを見たり、かくヨブは年老い日満ちて死にたりき」