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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

吉川英治『三国志(八)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 页

青空文庫

三

「……ご無理です。丞相にはどうしてそのようなお覚悟をなさいますか。悲しむなとおっしゃっても、そんなことを仰せられると、姜維は哭かないではいられません」

病窓の風は冷やかに、彼の声涙もあわせて、燭は折々消えなんとした。

三

「何を泣く。定まれることを」

孔明は叱った。子を叱るように叱った。馬謖の亡い後、彼の愛は、姜維に傾けられていた。

日常、姜維の才を磨いてやることは、珠を愛でる者が珠の光を慈むようであった。

「はい。……おゆるし下さい。もう哭きませぬ」

「姜維よ。わしの病は天文にあらわれている。こよい天を仰ぐに、三台の星、みな秋気燦たるべきに、客星は明らかに、主星は鈍く、しかも凶色を呈し、異変歴々である。故に、自分の命の終りを知ったわけだ。いたずらに病に負けていうのではない」

「丞相、それならば何故、禳をなさらないのですか。古くからそういう時には、星を祭り天を祷る禳の法があるではございませんか」

「おお、よく気がついた。その術はわれも習うていたが、わが命のためになすことを忘れていた」

「おいいつけ下さい。わたしが奉行して、諸事調えまする」

「うむ。まず鎧うたる武者、七々四十九人を選び、みなき旗を持ち、みな※(「白/十」