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さんごくし

三国志(八)

吉川 英治

吉川英治『三国志(八)』。同一底本的分册已合并为一书。收入:三国志、三国志。

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 195,604 字 · 391 页

青空文庫

遺孤の寄託、大業の達成。――寝ても醒めても「先帝の遺詔」にこたえんとする権化のすがたこそ、それからの孔明の全生活、全人格であった。

ゆえに原書「三国志演義」も、孔明の死にいたると、どうしても一応、終局の感じがするし、また三国争覇そのものも、万事休む――の観なきを得ない。

おそらくは読者諸氏もそうであろうが、訳者もまた、孔明の死後となると、とみに筆を呵す興味も気力も稀薄となるのを如何ともし難い。これは読者と筆者たるを問わず古来から三国志にたいする一般的な通念のようでもある。

で、この迂著三国志は、桃園の義盟以来、ほとんど全訳的に書いてきたが、私はその終局のみは原著にかかわらず、ここで打ち切っておきたいと思う。即ち孔明の死を以て、完尾としておく。

原書の「三国志演義」そのままに従えば、五丈原以後――「孔明計ヲ遺シテ魏延ヲ斬ラシム」の桟道焼打ちのことからなお続いて、魏帝曹叡の栄華期と乱行ぶりを描き、司馬父子の擡頭から、呉の推移、蜀破滅、そして遂に、晋が三国を統一するまでの治乱興亡をなお飽くまでつぶさに描いているのであるが、そこにはすでに時代の主役的人物が見えなくなって、事件の輪郭も小さくなり、原著の筆致もはなはだ精彩を欠いてくる。