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ぼうれいホテル
亡霊ホテル
山本 周五郎
「新少年」1937(昭和12)年11月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 9,706 字 · 20 页
そう云って給仕が、卓子の上へ銀盆を置いた時である。突然うしろから訛りのない流暢な仏欄西語で、
「失礼ですが、そのベーコン・エッグスは私の方へ頂きたいですね」
と声をかけた者がある、――三人の外人が恟りとして振返ると、そこには鹿谷博士がにやにやしながら立っていた。――否、博士だけではない、意外にも今まで客のように見せていたロビイの人たち、凡そ十七八名の紳士が、ぐるりと周囲を取巻いているのだ、然も手に手に拳銃を持って――。博士は冷やかに続けた、
「×××国の特務機関員諸君、もうじたばたしても駄目だよ、この通り網の口は締められたんだ。亡霊のからくりは暴露したぜ」
「あ! うぬ――」
「手を挙げろ! 動くと射殺するぞ※(感嘆符二つ、1-8-75)」
がんと喚きながら進出たのは、老紳士とみせた警視庁の高野刑事課長だった。三人の外人は一瞬、紙のように血気を喪って、両手を挙げながら椅子から起った。
その隙である、例の給仕は影のように身を退らすとまるで弦を放れた矢のような勢で地下室の方へ逃げだした。と見た博士が、
「伊藤、みどりさんを檻禁したのは彼奴だ、逃がすな!」
叫ぶより疾く、伊藤青年は、