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にんげんせいかつのむじゅん
人間生活の矛盾
丘 浅次郎
「中央公論」1926(大正15)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,798 字 · 36 页
団体生活をする者の一人一人が自己本位になり、階級制度で治まっていた世の中に自由解放を叫ぶ者が出て来ては、いずれの方面にも矛盾の出ずるのは当然で、時の経るとともに、矛盾がだんだんいちじるしくなり、終に今日の状態までに達したのである。
以上は私が懐手式に思いついた学説で、根拠もすこぶる薄弱であることは、私自身も充分に承知しているから、その誤りであることが解りさえすれば、いつでもこれを引込めるつもりである、今まではなはだ簡単ながら何回か発表したことはあるが、あまり人の喜ぶような目出たい説でもないゆえ、たいがいは黙殺せられた、ただ小野俊一君、川村多実二君、土田茂君などが、その存在を認めて反駁してくださったに過ぎぬ。しかして、これらの諸君の反対説を読んでみても私の説の誤りであることが私にはさらに納得ができぬのみか、日々見聞きする事件はことごとく私の説を裏書きするように思われ、人間生活に矛盾の多い理由は、私の説によればきわめて容易に了解ができるが、私の説によらねばほとんど解釈の仕方がないように感ぜられるゆえ、なお一度要点だけを披露してみようかと考えたのである。