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にんげんせいかつのむじゅん

人間生活の矛盾

丘 浅次郎

「中央公論」1926(大正15)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 18,798 字 · 36 页

青空文庫

アメリカのある州では昨年の春から、これを学校で教えることを禁じたが、ちょうど地動説を教えてはならぬというのと同じで、いずれも事実である以上は、とうてい押え通すことはできぬ、生物進化の事実を知るに至ったのは、生物学が次第に進歩し来った結果であるから、誰の説などと名づくべき性質のものではないが、自然淘汰説の方はこれと違い、生物進化の事実の因って起る理由を説明するためにダーウィンが考え出した説であるゆえ、これはダーウィン説と称して差支えはない。十人十色というて人の考え方は一人一人で違うから、ダーウィンの説に対して反対の考えを持ち自説を発表する人も無論あるわけで、実際今日までに幾人もあった。しかし、かような学説がいくつあって、互いに相戦うていても、またその中のどれが勝って、どれが敗けても、生物の進化という事実に何の影響も及ぼさぬはいうまでもない。先日どこかで「ダーウィンの生物進化論を葬る」という演題を見たが、この中には、二つの誤りが含まれてある。第一には「ダーウィンの生物進化論」であるが、前に述べたとおり、生物進化の事実は生物学の進歩によって次第に知り得たことで、今日ではけっして論などと名づくべき性質のものでない。