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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

と言い出した。谷君もやるのだが、佐伯君は柄が大きい丈け余計目についた。

「何故?」

と赤羽君は呑気だった。

「分らなければ宜いよ」

「教えてくれ給え。喧嘩なら加勢をしてやる」

「彼奴は僕達を馬鹿にしている」

「そんなことはないだろう。僕には一目置いて、英語の質問をするもの」

「それが生意気じゃないか? 僕にもしやがった」

「僕にもしたよ」

と私も二三回やられている。

「此方の学問を試すのだろうか?」

「君は長生をするよ」

「何故?」

「上州長脇差は人が好い」

と野崎君は益※(二の字点、1-2-22)焦らした。

「いくら長脇差だって、売らない喧嘩は買いようがない」

「売っているんだよ。質問にもよりけりだ。僕には rustic と書いて来て、『君、この字を知っているか?』と訊いた」

「君も知らなかったのかい?」

「rustic ぐらい知っているよ。田舎漢のことだ」

「然うかい? おれが知らないと答えたら、君が知らない筈はないと言やがった。畜生!」

「今分ったのかい?」

「兎に角、辞書を引いて見る」

と赤羽君は何うも血の繞りが遅い。

それから間もないことだったと記憶する。会話の時間に頓狂ものゝニコル先生が赤羽君の名を、