轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

「彼奴の然うですねは有名なものだよ」

と笑った。

「善い人のようだけれど、埒が明かなくて困る」

「教室でもあの通りらしい。生徒が質問すると、然うですねと言って十分ぐらい考えるから、質問が五つあると、一時間済んでしまう」

「まさか」

「本当だよ。決断力のない男だ。今学期の受持を定める時、僕は十八時間じゃ苦しいから、十六時間にして、五味君に二十時間持って貰おうと思ったら、然うですねと言ったきり、二日も返辞をしなかった」

「それは当り前だ。見す/\損をするんだもの」

「いや、損得に拘らず、一応然うですねと言って用心する」

「癖かね?」

「つまり馬鹿さ。念の入れどころが間違っている」

「君の口にかゝっちゃ敵わない」

と私は打ち切った。

五味君は親しくなるにつれて、「然うですね」を「然うだね」に改めた。尚お回数が大分減った。或時、私の下宿へ遊びに来て、

「君と話していると、つい釣り込まれて、後で後悔、いや、後から占まったと思うことが多い」

と言った。

「何故?」

「然うだね」

「又始まった」

「何が?」

「僕も君と話をすると、後悔する」

「何故?」

「一体、君の『然うだね』ぐらい無意味なものはない。