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ぼんじんでん

凡人伝

佐々木 邦

「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页

青空文庫

同級生は私を仲間外しにする。今から考えて見ると無理もない。皆いたずら盛りだ。そこへ修身の先生の廻しものが一人交っていると、何をするにも差支える。

「やあ、小西君と佐藤君、何処へ行く?」

と訊いても、

「何あに、一寸そこまで」

としか答えてくれない。二人とも手拭を腰に下げているから河へ水浴びに行くのに定っている。しかし私が一緒だと煩いのだ。水泳の合間々々に瓜畑を荒すことが出来ない。私が学校へ密告でもするように思っている。尚お校長の子だから特別に贔負されているという僻みもあった。先生が教室で、

「河原さん」

と呼んで私を指すと、誰か必ず咳払いをする。しかし学術優等品行方正と折紙がついていれば、そんなことに頓着していられない。私は相変らず努めていたが、その中に身辺に危険が迫ったことを発見した。驚いたが、もう晩かった。同級生は消極的な仲間外しではもう満足出来なくなったのである。

それは高等二年になって、一泊旅行に出掛けた晩だった。久能山へ参詣して静岡に泊った。先生が、

「それじゃ皆おとなしく寝るんですよ。宿屋だから、騒ぐと他の客の迷惑になります。分ったろうね」

と念を押して別間へ入った時、私は級長として、