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ぼんじんでん
凡人伝
佐々木 邦
「雄辯」大日本雄辯會講談社、1929(昭和4)年4月号~1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 98,944 字 · 202 页
級長も腕力がないと勢力がない。実際窮鳥だった。しかし今や私の号令は級の隅々まで行き渡る。
「言うことを聞いてくれなければ困るよ」
と頼んでも聞いて貰えなかったのが、
「やい!」
と一声呶鳴れば事が足りる。小さい野蛮人共は品行方正学術優等よりも腕っ節に敬意を表する。
「おれは来年の春三年生が済めば直ぐに東京の明治学園へ行くんだ。六階のミッション・スクールだぞ。手前達は高等を卒業して土百姓になれ」
と言っても、誰一人歯向うものもなかった。
しかし私は高等小学を卒業する運命を持っていた。待っていた三年生の終りが近づいた時、その翌年から○○町に中学校が出来ることになった。
「友一や、丁度好い都合だから、お前は家から町の中学校へ通わせる」
と父親が定めてしまったのである。
「それじゃもう一年高等にいるんですか?」
と私は無論不平だった。
「然うさ」
「しかしどうせ入るものなら少しでも早い方が徳です」
「いや、高等を卒業して置けば二年へ入れる。今東京へ行っても、三年修業じゃ半端だから、矢っ張り一年へしか入れない」
「でも来年二年になりますから、同じことでしょう?」
「分らないことを言っちゃ困る。