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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

在线阅读直木 三十五《南国太平記(なんごくたいへいき)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 493,291 字 · 991 页

青空文庫

(※(「言+墟のつくり」、第4水準2-88-74)――何かの、間違いであろう)

綱手は、真暗な、地獄の中に喘ぎながら

(ちがいます、ちがいます)

と、絶叫した。その途端、その闇の、底の中に、毒紅のような火が、ちらとした。綱手は、恐怖と、脅えとに、眼を閉じたが、火の、炎々としているのは、よく見えていた。それは

(月丸様が、同志の名を聞いた――疑えば――妾を、欺して――)

と、語っていた。綱手は、両手で、眼を閉じて

(そんなことはない)

と、悲鳴を上げたが、毒の火は、冷笑するように、燃え上っていた。いつの間にか、赤裸にされて、地の底の闇の中に、悶えている自分の姿が、見えてきた。

「綱手殿、何とした」

耳許で、袋持の声がした。

「はい」

いつの間にか、自分でも、判らないうちに、綱手は、袖を、顔へ当てて、泣き伏していた。

「困った女だのう」

と、いっている兵太夫の声が、聞えた。

「袋持、何か、訳があろうが、聞いてやるがよい」

「はっ――綱手殿、次へござれ」

袋持が、肩へ、手をかけた。

「参ります――ふと、いろいろの事を、思い出しまして、御眼を汚し、申訳、ござりませぬ」

綱手は、手をついた。