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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
いわれて帆村は、小卓子の上を指し、
「これだけは残して行くんですか」
「うん。無関係のものまで持って行くことはない」
「無関係のもの? そうですかねえ」
「だって中毒事件には関係がないものではないか。そうだろう。花活然り、蝋燭のない燭台然り、そして灰皿然り」
「そうでしょうかねえ」
「そうでしょうかねえったって、あとのものは中毒に関係しようがないじゃないか。僕が必要以上のものを集めたといって、君から軽蔑されるかと思ったくらいなんだがね」
「とんでもないことです。長谷戸さん。私は大いに敬意を表しているんですよ。あなたがマッチまで持って行かれる着眼の鋭さには絶讚をおしみませんね」
「ふふふ。それは多分君に褒められるだろうと予期していたよ。そうするに至った動機は、君の示唆するところに拠るんだからね」
「ははあ、そうでしたか」と帆村は軽く二三度肯いた。
「しかしそれなれば、まだお調べになるべきものが残ってやしませんか」
「もう残っていないよ。これですっかり――」
といいかけて検事は俄に言葉を停めた。
「ああそうか、君は灰皿に入っている内容物についていっているんだね。僕だってそれを考えなかったわけではない。