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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
サイフォンの中のソーダ水も忘れないで鑑識課へ廻すこと。その外に皿が四つ、コップが三個。空いた缶詰が一個。それからテーブル・ナイフにフォーク。最後にシガレット・ケース、巾着に入った刻み煙草、それとパイプ、それからマッチも調べて貰おう。それで全部だ」
検事は、鑑識課へ廻付して毒物の含有の有無を調べる必要のあるもの二十四点を数えあげた。検事がそれを数えている間、帆村荘六はこれまでにない硬い表情でそれを看守っていた。
検事の部下は、トランクを一個持って来て、命ぜられたものを一つ一つ丁寧にパラフィン紙に包んでトランクの中に収めた。小卓子の上からはだんだんに品物が姿を消していって、遂に残ったものは花活と燭台と灰皿の三つと、小さいナップキンとテーブル・クロスだけになってしまった。
「検事さん。これで全部ですね」
食料食器の収集を手伝っていた大寺警部がそういった。
「そう。それで全部だ」
と、検事は小卓子の上へ目をやってから、肯いてみせた。が、その検事は、帆村荘六がいやにしかつめらしい顔をしているのに気がついた。検事の眉の間が曇った。
「おい帆村君、何を考えているんだい」