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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
この質問をうけて、家政婦の顔はゆるんだ。彼女は、また芝山との関係について突込んだことを訊かれるのだろうと恐れていたらしかった。
「はい。わたくしのお持ちしたものは、この皿と、この皿と……」
と、家政婦は十四点をあげた。帆村は一々それに万年筆でしるしをつけた。
「それではね、こんどは残りの品物の中から、いつもこの部屋にあって、あなたに見覚えのある品を選ってみて下さい」
「はい。……しかしあとは全部そうなんですけれど……おや、この缶詰は存じません」
「まあ一々指していって下さい」
「はい」
家政婦は、彼女が写真の中の品物を指している間に、傍にいる帆村がけしからず荒々しい呼吸をしているのに気がついて、いやらしいことだと思った。――写真の中には、さっき彼女がいったとおり、一ポンド入りの空き缶が一つ残った。
「この缶詰に見おぼえがないというんですね。間違いありませんね」
「旦那さまが御自分で缶詰をお買いになって、御自分でこっそりおあけになるということは、今まで一度もございませんでした。ふしぎでございますわねえ」
「いや、ありがとう。あなたにお伺いすることはそれだけでした」