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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
帆村の友人の一人である新聞記者の土居菊司が、あわただしく電話をかけて来て、帆村にすがりついたその事件というのは、土居記者の肉親の妹が、今朝殺人容疑者としてその筋へ挙げられたことにある。土居はその妹の潔白を信じて、妹にかかった嫌疑が全くの濡衣であることを力説し、帆村の腕によって一刻も早くこの恐ろしい雲を吹き払い、妹を貰い下げられるようにして欲しいというのであった。
この妹想いの兄と帆村とは、もちろんさして深い友人関係ではなく、仕事の上で三四度知り合ったに過ぎなかったが、こうして頼まれてみると、引受けないわけに行かず、従って、土居との親しさの距離が急に縮まった感じがした。しかし彼はその妹がどんな女であるか知らず、顔を見たこともなかった。
殺されたのは、何者か?
本邦に珍らしいニッケル鉱の山の持主である旗田鶴彌氏が、その不幸な人物だった。氏の邸は、見附の近くにある。
帆村は、見附の公衆電話函の前で車を降り、そこに待っていた土居記者と一緒になった。二人は、旗田邸へ足を向けた。
その道すがら、土居記者は帆村に礼をいったり、懇願したり、訴えたりした。土居のいいたいことが大体終ったとき、帆村はたずねたいことを口に出した。