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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
「そうすると三津子さんは、今朝旗田邸から引かれたというわけだね。三津子さんが今朝旗田邸に居たことについて、あらかじめ、君は知っていたの」
「いいや、知らなかった。僕は昨夜は十二時を廻って帰って来たんだ、昨夜は地方版の記事について面倒なことが起って、遅くまで社に残っていたもんだから。……妹の部屋へ声をかけたところ、妹はたしかに返事をした。もちろん寝ていることが分った。声の聞えた見当からね。そこで僕は安心して、自分の部屋に入って寝床へもぐりこんだのだ。ところが今朝僕が起きてみると、妹が居ないのだ。買物にでも行ったのかと思っていたが、なかなか帰って来ない。そのうちに出社の時間が来た。今朝は昨夜からの記事の一件で、早く社へ出ることになっていた。それで僕は、妹にかまわず家を出たんだ。そうだ、あれは七時だったよ」
「なるほど」
そういって帆村はオーバーの襟をたてた。濠ばたを、春寒むの風が吹く。
「社へ出て、ひっかかりの仕事を大体片づけてほっと一息ついたところへ、木村という同じ部の記者が入って来て、ちょっとと蔭へ僕を呼ぶんだ。僕は何の気なしに彼の方へ寄って行くと、『おい土居、君の妹さんが警視庁へ引かれている事を知っているか』