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じごくのししゃ
地獄の使者
海野 十三
「自警」1947(昭和22)年1月~1948(昭和23)年1月(5、6、11月は欠)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 75,419 字 · 152 页
家政婦の寝呆け姿が目に見えるようであった。他の人々も、帆村の訊問に興味を持って耳を欹てる。喋り手はますます得意になって、
「よく見ればね、小林はコートの下に長襦袢を高くからげて、腰紐で結えていたんですよ。なぜそんなことをしているか。はははは、これが面白いんだ。僕はこの目でちゃんと見てやったですがね、小林の婆さん、年齢甲斐もなく、下に娘のような派手な長襦袢を着ているんですよ。しかもどうやら長襦袢の下はノー……いや、もう他人の話はその位にして置きましょう。恨まれるといやだから。はははは」
聴き手たちは、もっとその上の話を聞きたそうな顔であった。帆村は、それをくそ真面目な顔で、一々肯いていたが、そこでいった。
「なるほど。それからあなたはどうしなすったんですか」
「それから? それから僕は二階へ上って自分の部屋へ入り、ぐっすり寝ましたね」
「ああ、ちょっと。その間になにか、なさったことはありませんか」
「その間にですか? ありませんね、何にも……」
「お忘れになっているんでしょうね、あなたは家政婦に冷い水を大きなコップに一杯持ってくるようにお命じになった」
「ああ、そんなことですか」