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へいわじぎょうのしょうらい

平和事業の将来

大隈 重信

大日本平和協会会長推戴式での演説、1910(明治43)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,320 字 · 23 页

青空文庫

亡国民ほど憫むべきものはないのである。ここに於て、強い者は弱い者を憫み救うという、要するに文明の程度の高い者が、低い者を導くということになれば、初めて平和に近づくのである(拍手)。ところが、戦いに勝つと、直ぐ弱い者をいじめる。第一、日本人の了簡違いが一つあるのである。従来、欧羅巴人を非常に怖がっておった。ところが、兵器を執って見ると、思ったほどえらくない。露西亜に勝った。日本が強くて勝ったか、露西亜が弱くて負けたか、露西亜が日本を侮り過ぎて負けたか、日本は死物狂いであるから勝ったか、それは措いて、ともかく勝ってから、俄に傲慢になって、欧羅巴人と与し易い。ここに於て、大国民と威張り出した。決して威張るのを無理とは言わぬ。我輩も威張ることは好きだ(笑声起る)。好きだから時々威張ってみるが、時々反省もする。威張るのも宜いが、威張ると同時に、日本は長い間欧羅巴の文明に触れて、欧羅巴人に苦しめられて、よほど苦しかった。ところが、その苦しみを免るると、直ちに欧羅巴人が日本人を苦しめた筆鋒で、満韓に向って復讐をする。満韓に何の罪がある。これに向って、非常に圧迫を加えるというのは、どうもおかしい訳である。