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へいわじぎょうのしょうらい
平和事業の将来
大隈 重信
大日本平和協会会長推戴式での演説、1910(明治43)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,320 字 · 23 页
然るに、少しく外交的の、形式の変った、ほとんど悦びの下に会長に推薦されたというようなことであったのは、甚だ恐縮千万である。しかしながら、事ここに至って私がこれを避けるのは、私も男である以上勢いが無いようである。衷心恐縮に堪えぬ次第である。私が果して責任に堪えるや否やということは疑問である。しかしながら、私はほとんど二十二年前と記憶いたしているが、万国平和協会の会員の一人として署名している。その当時には、世界に名高い大政治家が沢山署名されておったのであるが、かくの如き名高い大政治家は、もはや今日は世界に存在していない。その当時おった人は、露西亜の大宰相であるゴルチァコフ、日耳曼大宰相であるビスマーク、英国の大宰相である所のヴィーコンスフィールド、グラットストン、あるいは亜米利加合衆国では、かつて日本にも御出でになったところのゼネラルグランド、数回大統領になられたが、この御方も署名されておった。その他世界に名高い政治家が、夥しく署名されておったのである。我々は世界に名も知れない、ことに世界の文明に触れて僅か半世紀しか経たぬところの、未だなんら世界的の大いなる事業を為したこともない者であったが、その当時帝国の外交官としておったために、その後えに署名するの名誉を得たのである。