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おもいだすことなど

思い出す事など

夏目 漱石

经历生死关头后,作者用细腻笔触回忆那段病中时光,那些细微的光影与人事,读来既心酸又温暖。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 57,003 字 · 113 页

青空文庫

後には、いろいろ込み入った工面をして電話をかけた手続が書いてあって、その末に会社の小使とかが徒歩で箱根まで探しに行ったあげく、幽霊のように哀れな姿をした彼女を伴れて戻った模様が述べてあった。余はそこまで読んで来て、つい二三日前宿の下女から、ある所で水が出て家が流されて、その家の宝物がまたある所から掘り出されたという昔話のような物語を聞きながら、その裏には自分と利害の糸を絡み合せなければならない恐ろしい事実が潜んでいるとも気がつかずに、尾頭もない夢とのみ打ち興じてすましていた自分の無智に驚いた。またその無智を人間に強いる運命の威力を恐れた。

もう一つ余の心を躍らしたのは、草平君に関する報知であった。妻が本郷の親類で用を足した帰りとかに、水見舞のつもりで柳町の低い町から草平君の住んでいる通りまで来て、ここらだがと思いながら、表から奥を覗いて見ると、かねて見覚のある家がくしゃりと潰れていたそうである。

「家の人達は無事ですか、どこへ行きましたかと聞いたら、薪屋の御上さんが、昨晩の十二時頃に崖が崩れましたが、幸いにどなたも御怪我はございません。ひとまず柳町のこういう所へ御引移りになりましたと、教えてくれましたから、柳町へ来て見ると、まだ水の引き切らない床下のぴたぴたに濡れた貸家に畳建具も何も入れずに、荷物だけ運ん