轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

と同時に、ウーンと押し殺したようなうめき声が、川手氏の耳をうった。今までうなだれていた女が、顔を上げて、猿轡の中から身の気もよだつ恐怖のうめき声を立てたのだ。見ればその青ざめた白蝋のような頬に、一筋サッと真赤な糸が伸びて、そこから濡紙にインキが浸み渡りでもするように、見る見る血のりが頬を濡らして行く。

「アッ、何をするんだ。いけない。いけない。そ、それじゃ、わしの今持っているだけのお金を皆やる。ここにある。この違い棚の下の地袋を開けてくれ。そこに手文庫が入っている。その手文庫の中の札入れに、確か三百円余りの現金があった筈だ。それを皆やるから、どうか手荒な事はよしてくれ。お願いだ。お願いだ」

主人は拝まんばかりの表情で懇願する。

「ホウ、そんな金があったのか。それじゃ、序にそれも貰って置こう」

賊は憎々しく云いながら、直ぐさま地袋を開いて、手文庫をかき探し、札入れの中の紙幣を懐中に入れた。

その間、主人は賊の一挙一動をさも無念そうに睨みつけていたが、紙幣を取り出して立上ろうとする時、賊の顔が一尺程の近さに迫って、覆面の中の素顔がはっきり見えたらしく、愕然として、