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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

で、組合せ文字は?」

「…………」

「オイ、組合せ文字はと聞いているんだ」

「ウーン、仕方がない。ミツヨの三字だ」

主人が歯がみをしてくやしがるのを、賊は小気味よげに眺めて、

「ウフフフフ、金庫の暗号まで満代か。馬鹿にしてやがる。よし、それじゃ、俺が次の間へ行ってる間、大人しくしているんだぞ。声でも立てたら、満代さんの命がねえぞ」

凄い口調で云い残して、賊は次の間へ消えて行ったが、ややしばらくあって、袱紗包の札束らしいものを手にして、ニヤニヤ笑いながら戻って来た。

「確かに貰った。久しぶりにお目にかかる大金だ。悪くねえなあ。……ところで、これで用事もすんだから、おさらばといいたいんだが、そうはいかねえ。まだ大切な御用が残っておいで遊ばすのだ」

「エッ、まだ用事があるとは?」

主人の山本は、なぜかギョッとしたように、賊の覆面を睨みつける。

「俺ア、今夜は貴様達二人に恨みをはらしに来たんだ。その方の用事が、まだすんでいないというのさ」

「じゃあ、貴様は、金を取った上にまだ……」

「ウン、先きに殺したんじゃ、金庫を開くことが出来ねえからね」

「エツ、殺す?」

「ウフフフフ、怖いかね」