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あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

もう風采が分ったからには、何としてでも、そいつの足取りを調べて見ます。そして、悪魔の巣窟を突きとめないで置くものですか。では、僕、これで失礼します」

「ウン、抜け目なくやってくれ給え」

博士に励まされて、若い小池助手はいそいそと陳列館を出て行った。

それから間もなく、死体陳列事件の取調べも終り、そこに集っていた人々は、それぞれ引取ることになったが、宗像博士は中村係長の承諾を得て、黒檀のステッキを研究室に持帰り、拡大鏡によって綿密な検査をしたけれど、ごくありふれた安物のステッキで、製造所のマークもなく、例の怪指紋の外にはこれという手掛りも得られなかった。

雪子さんの死体は直ちに大学に運ばれ、翌日解剖に附されたが、その結果をここに記して置くと、彼女の死因は、やはり毒物の嚥下によることが明かとなった。のみならず、丁度その前日、木島助手の死体も同じ場所で解剖されたのだが、その内臓から検出された毒物と、雪子さんのそれとが、全く同じ性質のものであったことも判明した。これによって、雪子さんと木島助手の殺害犯人が同一人であることは、一層明瞭になった訳である。

なお、雪子さんの死体を蝋人形として出品した人形工場については、中村係長自身その工場に出向いて、厳重に取り調べたところ、工場主は、そういう形のガラス箱はまったく覚えが