轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あくまのもんしょう

悪魔の紋章

江戸川 乱歩

「日の出」新潮社、1937(昭和12)年10月~1938(昭和13)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 151,280 字 · 301 页

青空文庫

「君、来たまえ」

博士はそう囁くと、いきなり蚊帳をまくって、荒屋の裏の藪の中へ飛び込んで行った。

ガサガサと竹の揺れる物音。

「そこにいるのは誰だッ」

博士の叱りつけるような重々しい声に応じて、闇の中から異様な笑い声が響いて来た。クックックッと、口を押えて忍び笑いをしているような、まるで怪鳥の鳴き声のような、何とも云えぬいやな感じの音響であった。そして、又ガサガサと竹が鳴って、黒い怪物は素早く藪の中へ逃げ込んだ様子である。

「待てッ」

闇の中の盲目滅法な追跡が始まった。

小池助手も、博士のあとを追って、蚊帳を飛び出し、竹藪をかき分けながら、音のする方へ急いだ。

厚い竹藪の壁を押し分けて向うに出ると、そこは以前に通り過ぎた迷路の中で、両側に藪のある曲りくねった細道がつづいていた。

「どちらへ逃げました?」

「分らない。君はそちらを探して見てくれたまえ」

博士は云い捨てて、迷路を右へ走って行く。小池助手は左の方へ突進した。

右に折れ左に折れ、いくら走っても際限のない竹藪の細道であった。もう自分がどの辺にいるのかさえ見当がつかない。黒い怪物は影も見えず、宗像博士がどの辺を追跡しているのか、それさえ全く分らぬ。