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せんそういがくのおじょくにふれて
戦争医学の汚辱にふれて
平光 吾一
――生体解剖事件始末記――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,206 字 · 24 页
かくて生体解剖は行われた
そして、二つの案が決定した。それは、捕虜死刑囚の一部を福岡近郊の油山に連れていって放ち、米軍上陸の際に必ず遭遇するであろうゲリラ戦術の実演とその効果を試すことが一つ。(後日、この計画は実施され連行された捕虜は実験虐殺された)他の一案は戦争医学を進歩させるための実験台に捕虜を使用すること、所謂生体解剖の実行であった。
かくて生体解剖は行われた
この生体解剖を提案したのは佐藤参謀大佐だった。彼は以前、偕行社病院に入院中自分の担当医官をしていた病院詰見習軍医の小森卓(昭和二十年六月爆死)が、「大佐殿、処刑すべき捕虜がありましたら、小森にお渡し願えませんか。屍体解剖では解けない生命現象の謎を知れば戦争医学に貢献し、広くは人類福祉のためになることは間違いありません……」といった言葉を想起したからであった。と同時に、彼の心中には、永い入院中治療を受けた礼のしるしに、小森の研究心を満足させてやろうという気が含まれていた。
佐藤大佐からこの計画実施を聞かされ、且つ任された小森軍医は流石に狼狽した。言葉では簡単にいったものの、それを実行するとなると事は重大である。彼一人では到底実施するだけの自信も、また度胸もなかった。