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かいていごじょうほう

改訂御定法

山本 周五郎

「文藝朝日」朝日新聞社、1962(昭和37)年12月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,422 字 · 58 页

青空文庫

と云って、表道場のほうへ走ってゆき、竹刀を持って戻った。

「面や籠手はつけないのか」

「これでいいです」と岡倉が答えた、「そちらはどうぞおつけ下さい」

直衛は道具をつけた。二人は作法どおりに竹刀を合わせ、立ちあがって左右にひらいた。とたんに直衛が踏み込んだとみると、岡倉の竹刀が生き物のように彼の手からはなれ、道場の羽目板まで飛んでいって床の上へ落ちた。その人けの少ない別科の道場の、しんとした空気の中で、床へ落ちた竹刀の乾いた音が、おどろくほど高く聞えた。

「もう一本」と岡倉がおじぎをして云った、「お願いします」

「いやだ」直衛は他の四人を見た、「ほかに誰か出ないか」

四人はすぐに表道場へ走っていった。岡倉は顔を赤くして自分の竹刀を拾いにゆき、そのまま羽目板を背に坐りこんだ。四人は道具を持って戻り、一人が身支度をすると、竹刀をおろし、片膝を突きながら、「渡辺孫次郎」と名のった。次が砂田慶之助、続いて江原次三郎、渡辺十兵衛と、四人が四人とも初太刀で竹刀をとばされてしまった。

「ぜひ私にもう一本」と岡倉小太夫がとびだして来た、「お願いします」

直衛は「道具をつけろ」