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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく

文化史上より見たる日本の数学

三上 義夫

三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页

青空文庫

には東海坊なる人の奉納なるごとくいい、

元禄四年……東海坊、山本宗信ノ奉額題ヲ解シテコレヲ京ノ祇園神社ニ掲グ……東海坊、其姓名ヲ知ラズ、蓋シ逸号ナラム……

と見えているが、これは誤りであって、明らかに署名されている通りに長谷川鄰完の奉額である。そうして東海坊と記しているのは、その奉額の取り次ぎをした坊名にほかならず、しかも東海坊とあるは東梅坊の見違いである。この算額は現存中の最古のものであるが、この算額あるによりて天和から元禄の頃にかけ、算額奉納の風のあったことは明らかに知られる。

けれどもこの風習はさらに古くから行われたのである。そのてとは『算法勿憚改』に見える。『勿憚改』は延宝元年(一六七三)村瀬義益の作であるが、中に武州目黒村の不動堂に算額を奉納した者があって、片岡豊忠の『算法直解』にもその答術があり、『勿憚改』もまた別に答術を作ったのであることを記す。

『算法直解』は寛文十年(一六七〇)の作にて、不動堂の算額はその以前のものと知られる。

『勿憚改』にいうところによれば、なお以前より算額の奉掲が行われていたらしい。このことは『増修日本数学史』にその記載がある。