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ぶんかしじょうよりみたるにっぽんのすうがく
文化史上より見たる日本の数学
三上 義夫
三上義夫『文化史上より見たる日本の数学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:文化史上より見たる日本の数学、芸術と数学及び科学、和算の社会的・芸術的特性について、数学史の研究に就きて。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 96,999 字 · 192 页
その形状は梁上が二珠であって、梁下の軸は極めて長く、はなはだしいのになるとあいたところが五珠の占めた長さほどあるものもあり、珠形は横断面がまず楕円形ともいうべく、はなはだ鈍いものである。こんな形のものであるから、われわれ日本人から見ると敏活を欠いたように見える。もっとも支那人は爪を長くしているとか、風俗が同一でないとかのために、支那人にとってはあんな形である方が使用しやすいのであるかも知れないけれども、日本人の目からは妙に見える。
しかるに日本で現今行われている算盤は梁上二珠のものもないではないが、まず一珠のものが多く、珠形は稜張って、梁下の軸にあいた場所が極めて短い。支那の算盤のようにゆったりしたところがなく、はなはだ繊細で、軽便で、よほどきびきびしているように見える。実際の使用上においても逓信省貯金局あたりでやっているように極めて敏捷なものである。支那と日本の算盤の形状はただちに両国民の気風を表現するものといいたい。
日本の現今の算盤のような形になったのは、次第に変遷したのであるが、現存の最も古い算盤は前田利家の遺物で、梁上の二珠であることは支那のむのに同じく、珠形に厚みのあることなども支那のものに近いけれど、この算盤ですらも、もはや支那のものそのままではない。