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しんたからじま

新宝島

江戸川 乱歩

「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页

青空文庫

きっとこのへんにもあるよ」

三人はひとまず矢印を追うことをやめて、手わけをして、パンの木を探しまわりましたが、やがて哲雄君が一本のパンの木を見つけ、三人でその実をもいで、立木のとだえた広っぱのような場所に出ました。

哲雄君は用心深く例のレンズをシャツのポケットに入れて持っていましたので、それを太陽の光線にあてて火をつくり、パンの実を蒸しやきにして、三人でお弁当をつかいました。ポパイもおすそわけにありついたことはいうまでもありません。

さいわい、例の小川がまがりまがって、その近くを流れていましたので、水もたらふく飲み、弱っていた保君もすっかり元気を取りもどしました。

「君たち僕にお礼をおいいよ。僕が穴へおっこちたおかげで、矢の印が見つかったんじゃないか。一郎君なんか、こわい顔をして僕をしかったけれど、本当はお礼をいわなくちゃいけないんだぜ。ワーイだ。エヘン、やっぱりター公はいいとこがあるなあ」

などと、日頃のチャメが出るほどですから、もう大丈夫です。それから三人は、矢印から矢印へとつたって一時間ほども歩きました。道はだんだんのぼり坂になって、ところどころかなりけわしい箇所もありましたが、身軽な少年たちは、物ともせず、グングンのぼって行くうちに、いつの間にか、山の頂上近くに達していました。