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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
「ウン、そうだよ。だが、絞り方がむつかしいね。手なんかではだめだし、一つその道具を考え出さなくっちゃ」
哲雄君は、それからそれへと、すばしこく頭を働かせるのでした。
ほんとうの椰子油製造工場では、いろいろこみ入った機械をつかって、進んだ方法で油をしぼっているのですが、そんなほん物のまねはとても出来ませんし、いくらかしこい哲雄君でも、そういうこみ入った機械のことを知っているはずはありません。
「ほした椰子の実の肉を石でたたいても、つぶせないことはないけれど、それでは、手間がかかって仕方がないし、ア、いいことがある。沈没船から持って来た洋酒の空樽があったねえ。あれを使えばいい。あの樽の中へ干した椰子の実をたくさん入れて、樽の底に近いところに錐で小さな穴をいくつもあけて、上からおしつぶせばいいんだ。そうすれば、椰子の油が、その小さい穴から、しぼり出されるわけだからね」
哲雄君は考え考え、ひとりごとのように言うのでした。
「だって、上から手でおしたぐらいじゃ、とてもだめだぜ。くだくだけでなくって、油をしぼり出すんだからねえ。とても僕たち三人の力ぐらいではだめだよ」