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しんたからじま
新宝島
江戸川 乱歩
「少年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1940(昭和15)年4月~1941(昭和16)年3月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 99,590 字 · 197 页
一郎君が首をかしげながら言いました。
「だから、人間の何十倍もある強い力をつくり出すんだよ」
哲雄君はすました顔で、妙なことをいいます。
「エ、人間の何十倍の力だって?」
一郎君と保君は、びっくりしたように、口をそろえてさけびました。
「ウン、そうだよ。なんでもない事じゃないか」
哲雄君はそういって、自分の考を説明しました。すると二人は、
「ナアンだ。そんな事か」
といって、笑いましたが、みなさん、この哲雄君の考がわかりますか。電気も蒸気機関もない無人島で、人間の何十倍もある力をつくり出すなんて、ちょっと聞くと、まるで魔法のような気がするではありませんか。いったい哲雄君はどんな方法を考え出したのでしょう。みなさんも、一つ考えてみて下さい。
その日から、哲雄君は、洞窟の前の地面を仕事場にして、油しぼり機械の製造をはじめました。いわばそこが少年達のお国の製造工場になったわけです。
哲雄君は二人の少年にてつだってもらって、森の中から、四メートルもある長いまっすぐな木を一本きり出して来て、その枝をはらって、太さも長さも、この間こしらえたオールの二倍ほどもある、一本の丈夫な棒をつくりました。