轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

いやむしろ、元の前時代、宋や唐の昔より、国運は漲り、近代的に覚めて以て、今や明の盛代とさえ見えた。

黄河の水。

揚子江の水。

それも今と少しも変らない――悠久として黄色い濁流を、中国と日本のあいだの――大きな天地から観れば一跨ぎの溝に過ぎない海へ――不断に吐き出していたのである。

×      ×      ×

天のはら

ふりさけみれば

春日なる

みかさの山に

いでし月かも

遠く日本を出てから、五郎大夫は、故国のこともいつか頭に薄れていたが、この歌だけは、忘れはしなかった。

阿倍仲麻呂の歌だ。

月を見、草を見、渡り鳥を見るにつけ、五郎大夫は、阿倍仲麻呂が歌ったような日本恋しさの望郷に、どれほど駆られたことか。

だが、明日こそ帰るのだ!

十二年間も留まっていたこの江西省饒州府の浮梁(現在の景徳鎮)を立って。

「夜が明けたら……」

五郎大夫は寝ても眠れなかった。

「――日本に残して来た家の者たちは、わしが生きているとは夢にも思っていないだろうな。母はまだ達者かしら。弟妹たちは、どうしたろう」

更けるほど、頭は冴えてしまう。――明日の旅に、疲れを残してはならないと気遣いながらも。