轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

01 第一分冊

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 页

青空文庫

「庄坊やアい」

「与作やアい」

親たちは、子を探したが、チビ僧の日吉も見えなければ、腕白たちも、忽然とみな姿をかくして見当らない。

「この寺の猿と遊ぶと、もう家へ入れないぞ」

親たちが、麓へ降りて行くと、すぐにまた、わアっと、本堂が震動し、藪がうごき、石が飛び、鐘が鳴り出した。

――日が暮れると。

わアん。わあん……

と、手を折ったり、瘤をこさえたり、血だらけになって降りて行く子が、多勢の中にはきっと二、三人ずつ出来た。

一日中、托鉢に歩いている二名の住僧は、毎度尻をもちこまれるので、もうさじを投げていたが、その日は、本堂へ立つと、

「……あっ」

顔見あわせて愕然とした。

内陣の前にある大香炉が真っ二つに割れているのだ。

この大香炉は、寺にとって、今のところ唯一の檀家である新川の茶わん屋捨次郎が、つい三、四年ほど前、

(これは伊勢松坂のさるお方から、特に焼いてくだされた物。わしとは深い御縁があるので、生き遺物とも思し召し、思い出の地の山水を絵付して、特に丹精をこらして製られた香炉じゃが、寺に納めておけば、末代まで長く什宝として伝わるであろうから――)

と、云い添えて、寄進してくれた物なのである。