轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本の怪談』。同一底本的分册已合并为一书。收入:義人の姿、宝蔵の短刀、村の怪談、猫の踊、幽霊の自筆、狐の手帳、貧乏神物語、怪僧、庭の怪、八人みさきの話、一緒に歩く亡霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,030 字 · 115 页

青空文庫

備後は前日鍛精込めて造えた十匁弾を持って、朝早く一人で家を出て北山へ往った。そして、彼方此方と獣のおりそうな処を捜して歩いたが、平生(いつも)はよく見かける猿さえ見えなかった。彼は寒い風の吹く谷の路を下のほうへおりていた。山の上の方には寒い夕陽の光があったが谷の中は微暗かった。路の左手に大きな巌(いわ)が聳えていて、ふと見るとその大巌の上に眼の光る山猫とでも思われるような獣がいた。彼は朝から一発も放さないでじりじりしている時であったから、讐(かたき)にでも出会ったようにいきなり銃(つつ)の口火へ火縄をさした。と、何かに弾の中(あた)った音がした。

「ひとーツ」

物の数を数える声とともに激しい嘲笑が聞えた。備後は驚いて巌の上を見た。怪しい獣は前肢の一方に何か黒いものを握っていた。数とりと嘲笑はたしかにその獣からであった。備後はますます驚いて、手早く二発目の弾を込めて火を点けた。と、また何かに的中した。

「ふたーツ」

数とりの声が嘲笑に交って聞えた。奇怪至極のことであった。彼はまた三発目を放した。

「みーツ」

弾はその怪獣の手にした黒い器に的(あた)るらしかった。