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ぎじんのすがた
日本の怪談
田中 貢太郎
田中貢太郎『日本の怪談』。同一底本的分册已合并为一书。收入:義人の姿、宝蔵の短刀、村の怪談、猫の踊、幽霊の自筆、狐の手帳、貧乏神物語、怪僧、庭の怪、八人みさきの話、一緒に歩く亡霊。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,030 字 · 115 页
すると痩せた少年はそれを組ませずに突き倒そうとした。
光長は盗人の用心のことを忘れてしまって、不思議な少年の容を見はじめた。円く肥った少年と痩せた少年は、いっしょになったり離れたりして、相手を突き倒そうとする容であった。光長はやっとその少年達が角力を執っていると云うことを知った。しかし、草の繁った中から這い出て来て角力を執る少年の素性がどうしても合点が往かなかった。庭の前は築地になって用心を厳しくしているので、少年達が入って来られる隙はない。それに夜になって人の家の庭前などへ来て角力なんか執るものではない。それに芒や萩の中にあんな少年が入っておる筈のものでない。どうしてもこの少年は怪しい少年であると思った。
「どうしても人間の子供でない」
二人の少年は組んずほぐれつやっていたが、力が合っているのか何方も倒れない。
「何者だ」
光長は思わず声を出した。と、二人の少年はびっくりしたように両方に離れるとともに、痩せた方は芒の繁みの方へ往き、肥ったのは萩の繁みの方へ往ったが、そのまま二人とも見えなくなった。
「何人か来よ、何人か来よ」
光長が声を出して呼ぶと、しもての縁側に跫音がして、釣り刀をした背の高い侍の一人がのそのそと来てひざまずいた。