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ぎじんのすがた

日本の怪談

田中 貢太郎

田中貢太郎『日本の怪談』。同一底本的分册已合并为一书。收入:義人の姿、宝蔵の短刀、村の怪談、猫の踊、幽霊の自筆、狐の手帳、貧乏神物語、怪僧、庭の怪、八人みさきの話、一緒に歩く亡霊。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,030 字 · 115 页

青空文庫

「蓮池の城といっしょに、勝賀野の首を執りに往くところじゃ」

勝行がその理由を話すと、二人もいっしょに往ってやろうと云いだした。

「元親公の云いつけじゃから、御身達を伴れて往くことはならん」

勝行は承知しなかった。其処へまた二人の侍が来た。北代市右衛門と甥の北代四郎右衛門の二人であった。

「和主(おぬし)達は何をしておるのじゃ」

市右衛門が云った。市右衛門叔父甥は、勝行の大事の使のことを聞くと、これもいっしょに往こうと云いだした。勝行はしかたなしに四人の加勢を伴れて往った。

次郎兵衛の家は蓮池城の東南の麓にあった。家の前には一条の路が通じていた。その路をやって来た五人の姿は、もう次郎兵衛の眼に注(つ)いた。五人が玄関口ヘかかると次郎兵衛が両刀を差して出て来た。

「ただいま承るに、左京之進殿には、お腹を召されたとのことでござるが、左京之進殿は元親公の甥婿でござらぬか、この勝賀野がおったなら、やみやみと腹を切らせまいに、返す返すも残念なことをしたものじゃ、其処許達は、定めてこの次郎兵衛を打ちに参ったでござろうが、まあまあ、遠い処を参られたから、粥でもふるまい申そうか」