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にほんせいしんしけんきゅう
日本精神史研究
和辻 哲郎
推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页
すると女房たちが、遊びをやめて彼女の側に集まり、いろいろの話を持ちかける。そこへ斉信からの使いが来て、直接に申し上げたいことがあるといって彼女を呼び出し、斉信の手紙を出して、返事を早くとせき立てるのである。彼女は、あんなに憎んでいながら何の手紙かと思いつつも、急いで見る気にはならず、「いね、今きこえん」と言って手紙を懐へ入れて引っ込んでしまう。しばらくして使いが引っ返して来て、すぐ返事ができなければ手紙を返してほしいという。相手が熱心なので、『伊勢物語』風の歌ででもあるのかと、心をときめかせながらあけて見ると、案外にも青き薄様に「蘭省花時錦帳下」[蘭省の花時、錦帳の下]という白楽天の句を書いて、「末はいかに」とある。彼女は当惑しつつも、火鉢の消えた炭をとって、その手紙の奥へ、次の句「盧山夜雨草庵中」[盧山の夜雨、草庵の中]を「草の庵を誰かたづねん」と変えて書きつけて返す。翌朝私室へ帰っていると、昨夜の手紙についての報告がくる。斉信が、「彼女と絶交しているのは辛抱しきれない。何か言い出すかと待っているが向こうは平気である。面憎い。今夜は絶交するともしないともきっぱりきめたい」