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にほんせいしんしけんきゅう

日本精神史研究

和辻 哲郎

推古時代における仏教受容の仕方について「思想」1922(大正11)年7月<br>仏像の相好についての一考察「思想」1922(大正11)年5月<br>『万葉集』の歌と『古今集』の歌との相違について「思想」1922(大正11)年8月<br>お伽噺としての『竹取物語』「思想」1922(大正11)年11月<br>『枕草紙』について「思想」1922(大正11)年9月<br>『枕草紙』の原典批評についての提案「思想」1922(大正11)年9月<br>『源氏物語』について「思想」1922(大正11)年12月<br>「もののあはれ」について「思想」1922(大正11)年10月<br>歌舞伎劇についての一考察「思想」1922(大正11)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 208,277 字 · 415 页

青空文庫

と言って、雨で淋しい、同情してくれとの謎をかけた手紙をよこしたのである。しかるに使いが、「今は見まいと言ってはいられた」と報告する。斉信はいら立って、「袖を捕えて有無を言わせず返事を取って来い、でなければ手紙を取り返して来い」と雨の盛んに降る中に使いを追いやった。返事を取って見ると斉信が自分の心を知らせようとして暗に使った句を、逆に利用して「私のような醜いものを誰がかまってくれよう」と、斉信のこれまでの態度を責めている。そうして上の句をつけよと挑むのである。斉信は降服して、どうしても絶交はできぬと嗟嘆しつつ、一座のものとともに夜ふくるまで上の句をつけ煩った。

この話によって我々は彼女の勝ち気で強情な、強い性格を知ることができる。彼女はただに女房たちの間の大姐御であるのみならず、斉信のごとき公卿たちに対してもはるかに上手である。あたかも男と女が所を異にしているようにさえも見える。彼女が晩年零落していたころ、多くの若い貴族が車に同乗して彼女の家の前を通り、家の壊れたのを見て「少納言無下ニコソ成ニケレ」と言うと、桟敷に立っていた彼女が簾を掻き上げ、「如鬼形之女法師顔」