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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
尾崎士郎『早稲田大学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「早稲田大学」凡例、早稲田大学、早稲田大学について、風蕭々、学校騒動。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 页
地方から上京してきた学生のほとんど大部分は、中立派であったが、学校側の態度が強化するにつれて次第に反天野派的色彩をおびてきた。学生のあいだに大山郁夫とならんで、もっとも人気のあった永井柳太郎の罷免は彼等の心に尠からぬ衝撃をあたえた。小大隈というあだ名で呼ばれ、彼は青年時代から大隈に私淑し、もっとも大隈の恩寵をうけていた。片足を失ってからは、いよいよ彼の風采容貌は大隈に似てきた。大隈の落し子ではないかという噂までまことしやかに流布されていた永井である。その永井が学生のあいだに最初のうちは高田派の中心人物と見られていたにもかかわらず、天野派の一員として馘首されたことは、学生たちの感情に、何か悲劇的な処理のつかぬものを植えつけてしまったらしい。流言蜚語は神楽坂から高田の馬場までひろがる、学生の住む区域にあとからあとからと撒きちらされた。西方現助が興奮にどよめく人波を押しわけて、早稲田劇場の裏口からはいってゆくと、演壇のうしろに張られた幕のうしろで、その日、登壇する手筈となっている弁士と演題を書いた紙の整理をしていた学生のむれの中から青木公平がひょいと立ちあがった。