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わせだだいがく
早稲田大学
尾崎 士郎
尾崎士郎『早稲田大学』。同一底本的分册已合并为一书。收入:「早稲田大学」凡例、早稲田大学、早稲田大学について、風蕭々、学校騒動。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 112,204 字 · 220 页
保なぞの方に、気質的な伝統を残している。あの明るさと叛骨、額ぶちのない自由さは早稲田以外の学校では決して生育せざるところのものである。別の意味で、青野季吉もそうであろう。もう、こういう性格が再び新しい学校形式から生れることはあるまい。青野にも高田にも、文学とか政治とかいうワクにおさまることのできない悲劇的要素がある。これは彼等が時代から迎えられるかどうかという問題とはちがう。彼等の才能はそれぞれの方向において独自の世界を築きあげてゆくであろうが、しかし、生活の実践と結びつくことなしには彼等の文学も人生も存在しないのである。
私は十余年前、久しぶりで早稲田の講堂で一席の講演を行い、そのとき席を同じゅうした中山義秀と会って、彼もまた早稲田出身であることをはじめて知った。義秀も古き早稲田の生き残りである。学校騒動以来、私が鶴巻町を歩いたのはそのときが最初であるが、私たちの時代に、街の辻々から聞えてきた「都の西北、早稲田の森に」という相馬御風によってつくられ、東儀鉄笛によって作曲された校歌のゆるやかな合唱は、もはやどこからも聞えて来なかった。昔は四、五人の学生があつまると、歌うことが歩くことであり、歩くことが歌うことであり、合唱が歩調にぴったりと合して、そこに時代的空気がひとりでにうきあがってくるように思われた