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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
在线阅读山本 笑月《明治世相百話(めいじせそうひゃくわ)》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 128,862 字 · 251 页
茅ヶ崎別荘の団十郎
茅ヶ崎別荘の団十郎
仁木が得意の市川団蔵、ひさびさにてその仁木を演ず。相手の男之助が団十郎であった。床下、花道のスッポンからせり上って小柄を投げる、男之助みごとに受ける、団蔵その息の巧さに心から感服して、「やっぱり成田屋は役者が違う」と。世話狂言の名人菊五郎いわく、「成田屋の世話物の調子がほんとうの世話調子というのでしょう。あの真似は出来ません」と。名人、名人を知る。団十郎の真価はこれらの寸話にも現われている。
むしろ小柄の方で舞台は大きい。いかな大柄の俳優も、団十郎の前へ出ては小さく見える。技芸の力と貫禄の重みである。音声は独特の名調子、晩年少しも衰えない。調子を張って騒がしからず、低めても隅まで透った。全く修練の力である。そのほか技芸上の話は世間様が御承知。
私がこの名人を茅ヶ崎の別荘へ訪問したのは明治三十五年(四年?)の夏、停車場から畑道を腕車に揺られて約三十町。この方は裏門である。表口は海岸から十四、五町もあるとのこと、小高いおかの上で、建物は母家と離れのかやぶきが二棟、すべて成田屋好みの大道具。団十郎の居室はその離れの方にあって、その時は二人娘の実子、扶伎子と、有名な女番頭の猿蔵婆さん、ほかに弟子の升蔵などを連れて来ていた。