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こよみ
暦
壺井 栄
「新潮」1940(昭和15)年2月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,332 字 · 112 页
という。聞く人々は、ふうむ、と首を左右にふって感に堪えぬように、
「ようもまあそれで引合うのう」という者さえあった。すると重吉がその言葉に噴きだし、
「引き合うのう、か。豚の仔か何ぞのように」
だが、まったく子供たちは豚の仔のように終日がちゃがちゃ騒ぎ回った。豚の仔が同じような桃色の肌をしているように皆同じ着物を着せられることさえあった。気に入ったとなるといねは同じ柄を五反も六反も織り、一つ身から四つ身までを十枚以上も作った。喧嘩しなくてよいという建前であったが、喧嘩はそんなこととは別に起った。小さい時から荒い声も出さずに育てられたいねではあったが、これだけの世帯を切り回しているうちに気性も変り、事あるごとに板木のように、大声で呶鳴りつけた。笑うのも叱るのも大声であった。一人の子が熱を出して薬をのまされ、あれこれと欲しいものを食べさされているのを見て頭の痛い子が三人も四人も出てきて、自分も晩飯はほしくないという。いねは一人一人の額に手をやり、だまって寝かした。
「さあ、飯じゃ、飯じゃ」
大声で呼ばわると子供たちは三十分もたたぬ間にもう癒ったといって起きだしてくる。