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こよみ

暦

壺井 栄

「新潮」1940(昭和15)年2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,332 字 · 112 页

青空文庫

「あた気色の悪い、カヤノ姉さん、ようそんな婿さんのとこにいるわ」

と、クニ子らしい憤慨のしかたをした。

「ほんまにカヤ姉さん苦労しよるわ」

と、実枝もその時はカヤノの二度目の結婚がまたけっして幸福には行っていないように思い、めったに嫁にとてはゆくもんじゃないというクニ子の考え方と同じ考えを持っていたのであった。

それから四五年の月日が流れ、実枝は実枝なりにものの考え方も変ってきている。それなのに今自分たちの前で涙を流しているカヤノは今だに我家庭をこきおろし、愚痴を並べる女である。

女がこんな風なのはいったいどこが悪く、何がそうさせるのだろうか。

実枝はそう考え、クニ子はクニ子で、

「やっぱりうかうか嫁にはゆけん」と、我心にきつくいいきかせるのであった。そして姉たちの不幸を少しでも慰めようと、

「ゆっくり休んでいきよ姉さん、ぎょうさん寝てゆきよ」

と、それよりほか言葉を知らないように思いやりこめてくりかえしていった。

三年忌の当日、もう来ないだろうと思われた高子が、その日になってやってきた。お寺様のお経もすみ、これから皆で墓へ出かけようとしているところであった。