轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ほんじょりょうごく

本所両国

芥川 竜之介

「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月6日〜22日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,005 字 · 43 页

青空文庫

乗り継ぎ「一銭蒸汽」

僕等はやむを得ず船ばたに立ち、薄日の光に照らされた両岸の景色を見て行くことにした。尤も船ばたに立っていたのは僕等二人に限った訳ではない。僕等の前にも夏外套を着た、あご髯の長い老人さえやはり船ばたに立っていたのである。

川蒸汽は静かに動き出した。すると大勢の客の中に忽ち「毎度御やかましうございますが」と甲高い声を出しはじめたのは絵葉書や雑誌を売る商人である。これもまた昔に変っていない。若し少しでも変っているとすれば、「何ごとも活動ばやりの世の中でございますから」などという言葉をはさんでいることであろう。僕はまだ小学時代からこういう商人の売っているものを一度も買った覚えはない。が、天窓越しにかれの姿を見おろし、ふと僕の小学時代に伯母と一しょに川蒸汽に乗ったときのことを思い出した。

乗り継ぎ「一銭蒸汽」

僕等はその時にどこへ行ったのか、兎に角伯母だけは長命寺の桜餅を一籠膝にしていた。すると男女の客が二人僕等の顔を尻目にかけながら、「何か匂いますね」「うん、糞臭いな」などと話しはじめた。長命寺の桜餅を糞臭いとは――僕は未だに生意気にもこの二人を田舎者めと軽蔑したことを覚えている。