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ほんじょりょうごく
本所両国
「東京日日新聞」1927(昭和2)年5月6日〜22日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 21,005 字 · 43 页
母「法界節や何かの帰って来るのをね。」
伯母「あの時分は蝙蝠も沢山いたでしょう。」
僕「今は雀さえ飛んでいませんよ。僕は実際無常を感じてね。……それでも一度行ってごらんなさい。まだずん/\変ろうとしているから。」
妻「わたしは一度子供達に亀戸の太鼓橋を見せてやりたい。」
父「臥竜梅はもうなくなっただろうな?」
僕「ええ、あれはもうとうに……さあ、これから驚いたということを十五回だけ書かなければならない。」
妻「驚いた、驚いたと書いていれば善いのに。」(笑う)
僕「その外に何も書けるもんか、若し何か書けるとすれば……そうだ。このポケット本の中にちゃんともう誰か書き尽している。――『玉敷きの都の中に、棟を並べ甍を争へる、尊き卑しき人の住居は、代々を経てつきせぬものなれど、これをまことかと尋ぬれば、昔ありし家は稀なり。……いにしへ見し人は、二三十人の中に僅に一人二人なり。朝に死し、夕に生まるゝならひ、たゞ水の泡にぞ似たりける。知らず、生れ死ぬる人、何方より来たりて、何方へか去る。』……」
母「何だえ、それは? 『お文様』のようじゃないか?」
僕「これですか? これは『方丈記』