轻松读懂日语经典作品
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ほんじょみぞれがし
本所霙河岸
山本 周五郎
「婦人倶楽部」大日本雄辯會講談社、1939(昭和14)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,115 字 · 24 页
三の二
「鈍刀はないでしょう」
庄兵衛は打粉を叩きながら、
「見てください、あなたも御存じの金銘則重、大先生のお差料ですぜ」
「則重の脇差、あれをお売りなすったのか」
「買ったんじゃありません、お取替え申したんですよ、手前のほうは仮名銘兼元でした、これより五分ほど短かったが、金三十枚という折紙つきの立派な物でしたぜ」
「そうか、あれは兼元だったのか」
「仮名銘兼元を御存じですか」
「五六日前に見た。――道理で立派な品だと思ったよ、そういえばあの刀相はたしかに兼元だな」
「何を感心していらっしゃる」
庄兵衛はにやにや笑いながら、
「あなたがあの兼元を御覧になる道理がありませんよ、あれは焼けちまいましたぜ」
「――焼けたとは」
省吾はそこへむずと坐った。
三の二
「大先生の亡くなったあの晩、惜しいことに一緒に焼けてしまったんです。というのが」
庄兵衛は刀に拭いをかけながら、
「あの晩は横井さんはじめ御門人衆は、向島で野試合を催したあと植松でお泊りなさいました、大先生が御酒をお嫌いなので、野試合を兼ねた年忘れの宴会という訳でしょう、みなさん植松で夜明しの騒ぎだったそうです」
「その留守で火事、それは聞いた」