轻松读懂日语经典作品
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ほんじょみぞれがし
本所霙河岸
山本 周五郎
「婦人倶楽部」大日本雄辯會講談社、1939(昭和14)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,115 字 · 24 页
「大先生はお風邪気味で、お留守をなすっていると聞いたものですから、ちょうどその前日手に入った仮名銘兼元の脇差を持ってお邪魔にあがりました、晩飯のあとですから、七時ぐらいでしたかな。……兼元を御覧に入れると大層なお気入りで、是非買いたいとおっしゃるんです」
庄兵衛はひと息ついて続けた。
「実を云うと私はその兼元でひと儲けするつもりでした、他処様なら否も応もないんだが、大先生に儲けてお売りすることはできませんからね、そこでお差料のこの則重とお取替えならと申上げたんです」
「それで取替えたのだな」
「へえ、私はそれから十時頃までお話をして帰りましたが、その夜更けに火事で、大先生はあんなことになる、兼元だってむろん駄目でございました、焼跡を捜してもらったんですが、めちゃめちゃになった欠身が出たっきりで、どれがどれやら見当もつかずじまい、まったく惜しいことを致しましたよ」
「そうか、――それで横井たちが帰って来たのはもう焼落ちた後だったんだな」
「そうですね、女中のお繁さんと下男二人でお嬢さんを外へお伴れしたそうですが、私が駆けつけた時はもう一面の火で、どうも大先生の姿が見えないという騒ぎなんです、それからすぐ植松へ使を走らせたんですが、みなさんが帰っていらっしゃったのは明けの四時頃でもございましょうか」