轻松读懂日语经典作品
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ほんじょみぞれがし
本所霙河岸
山本 周五郎
「婦人倶楽部」大日本雄辯會講談社、1939(昭和14)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 12,115 字 · 24 页
「みんな揃っていたか」
「横井さんはじめみなさん御一緒でした」
省吾は頷いて立った。――庄兵衛は手入れの終った則重を鞘に納めながら、
「そういう訳ですから、仮名銘兼元は御覧になるはずがありませんよ」
「拙者の眼違いかな、――まあいい」
省吾は奥へ入りながら、
「明日なあ佐渡屋、ちょっと一緒に行ってもらいたいところがあるからそのつもりでいてくれ」
「なにか御用ですかえ」
「一緒に来れば分る、寝るぞ」
省吾は大股に奥へ去った。
明る日、庄兵衛が起きてみると省吾の姿が見えなかった。家の者に訊くと、夜のひき明けにどこかへ出掛けたという。
「なんだい、用があるから一緒に来てくれと云いながら」
ぶつぶつ云っていると、朝食をしまって半刻ばかり経ってから、省吾が見違えるような姿になって帰って来た。
月代も青々と、髭も剃り、漆黒の髪を大髻に結って、衣服もすっかり新しく変っている、浅黒い切殺いだような頬に濃い眉、――つい昨夜までの尾羽うち枯らした様子に比して、生れ更ったような凛然たる男ぶりである。
「や、どうも、これは……」
庄兵衛は眼を剥いた。
「どうだ、満更でもあるまい」
「驚かしっこなしにしましょう先生、どうなすったんですこれは」