轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

01 第一部

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 148,519 字 · 296 页

青空文庫

「こんな時刻にか」と村山喜兵衛が云った、「こんな時刻に御門を出られると思うのか」

「不浄門から出るつもりでした。不浄門に兄の知っている人がいるものですから」

「いったいそれは、――」ともう一人の侍が云った、「それはどういうことだ、なにがあったのだ、なんのために浜屋敷などへゆくのだ」

「わかりません」と新八はまた吃った、彼の声はいまにも泣きだしそうに聞えた、「兄のところへ客が来たのです、私にはわかりませんけれど、なにか大変なことが起こりそうでした、兄のようすではなにか尋常でないことが起こるように思えました」

「矢崎、――」と村山喜兵衛がもう一人の侍を見た。矢崎という若侍は頷いて、小走りに向うへ走っていった。村山喜兵衛は新八に云った。

「こちらへおいでなさい」

「どうするんですか」

「いまようすを見にやったから、どんなぐあいかわかるまで、向うで待つがいいだろう」

村山喜兵衛は虎之助のほうへ歩みよった。

「坊、いっしょにおじさんのうちへゆこう」

虎之助は姉を見た。喜兵衛は跼んで云った。

「抱いていってやろう」

「歩いていく」と虎之助は云った。

村山喜兵衛は、三人を、自分の小屋へつれていった。