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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
04 第四部
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 178,724 字 · 355 页
彼は何よりも県庁のやり方を卑劣だと思った。それがむやみに腹立たしく、さっきからどうなりおさまりかけていた権力に対する反抗心が、それでまたむくむくと頭をもたげ出していたのだった。
俊亮は、しじゅう次郎の様子に注意しながら話していたが、話し終ると、これで何もかもすんだ、というような顔をして言った。
「今日は風がないので県庁の二階も暑かったよ。しかし、やっとせいせいした。やはり水はいいね。」
次郎も、新賀も、梅本も水にひたったまま、むっつりしていた。水面にならんだ四つの顔がただ眼だけを動かしている。
しばらくして、新賀が何かふと思いついたように梅本に言った。
「血書は、こうなると、やはりおとなしく撤回した方がいいんじゃないかね。どうせもう役には立たたないし、……」
「そうだ。僕も今そんなことを考えていたところだ。本田からは言い出しにくいだろうから、僕たち二人でみんなに相談してみよう。」
すると次郎が、
「僕は不賛成だ。」
と、おこったように言って、俊亮の顔を見た。
俊亮は、しかし、三人の言葉を聞いていなかったかのように、急に水から上半身をあらわし、
「おっ、少し冷えすぎたようだ。